観光地

ここは中国?ドイツのノイシュバンシュタイン城?いいえ姫路の山奥です。狂気を感じる作り込みの『太陽公園』のレビュー

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要約

どんな場所? : 様々な世界遺産や有名建造物を気軽に楽しめるテーマパーク?

料金 : 大人1,500円/子供700円(実質ここから200円引き)

立地 : 山の中(車での訪問が現実的。駐車料金500円)

おすすめ年代 : 小学生中学年くらい~(社会の授業が始まっていると勉強にもなりそう)

個人的な評価

お財布への優しさ ★★★☆☆(3)
満足度 ★★★☆☆(3)兵馬俑がすごい!
お勧め度 ★★☆☆☆(2)人をかなり選ぶかも

一言 : コスプレ好きな人や撮影な人が好き人など、はまる人にはすっごいはまるかも

 

姫路の山奥にお城が!

わたし、仕事で山陽自動車道を使って大阪と岡山間を移動することがよくあるんですが、以前から姫路の山奥になにかお城があるな・・・と思ってはいたんです。お城といっても姫路城のような日本式のお城じゃありません。ヨーロッパ式の、しかもその中でも恐らく最も有名だと思われるドイツのノイシュバンシュタイン城です。どう見ても。

友人に聞いたところ、それは『太陽公園』というテーマパークなんだとか。福祉法人が運営しているというかなり珍しい施設ですが、施設とは関係のない一般人でも楽しむことができるらしいので、小学生の子どもを連れて遊びにいってきました。

 

太陽公園ってこんな場所

太陽公園は高速道路から見えたノイシュバンシュタイン城のコピー(スケールは2/3?)がある『城のエリア』と、世界各国の石像のレプリカを中心とした『石のエリア』の2つのエリアから構成されています。『城のエリア』の入口付近にはお土産屋さんやレストランが入ったウェルカムハウスがあり、このウェルカムハウスでわたしは施設の入場券を購入しました。

 

まるで本物のノイシュバンシュタイン城のような『城のエリア』

恐らく多くの人が最初に行くのがこの城のエリア。ヨーロッパ式のお城では最も有名だと思われるドイツのノイシュバンシュタイン城のコピーがそびえ立っているエリアです。流石に同スケールではないけど、それでもでかい。かなり、でかい。USJのホグワーツ城よりもでかいんじゃない?これを地方の福祉法人が建設したなんて、信じられます?

 

このお城までは徒歩でえっちらほっちら登っていくこともできますが、まぁそんな人はいませんでした。みんなこのモノレールに乗って登っていきます。このモノレールに乗るのに追加費用はいりません。山で乗る一般的なリフトとかケーブルカーの料金って結構高いので、これが無料っていうのは有難い。

 

モノレールに乗っている時間はせいぜい数分程度なんですが、それでもみるみると高く登っていきます。眼下に広がるのはのどかな里山の風景。小さい子どもがいれば、きっとこの時点でも大いに楽しめるでしょう。ちょっとガタガタ・ギシギシ感があるけど。

 

モノレールの内部はこんな感じ。10人ちょっとは余裕で乗れるスペース感。ちょっと年期が入ってますけど、立派なもんです。

 

モノレールから降りると、どーんとそびえ立つノイシュバンシュタイン城(の縮小コピー)。ちょっと小さいらしいけど、それでもすごーくでかいです。近づいてみるとスチールシャッターや消火栓などがあり、しっかりとした現代的な建物であることが分かります。それでもこの雰囲気、ほんとうによく作ったなと思います。

 

少し歩いてお城をグルっと回ると、正門に辿り着きます。んー、やっぱりデカい。ここで撮影している人が多くいられましたが、画角的に標準レンズだと門全部はなかなか収まりません。広角レンズが欲しくなりますね。

 

このお城の最大の見どころはやっぱりここでしょう。『上の中庭』がここなのかな?ここだけを見るとノイシュバンシュタイン城のコピーだとはなかなか思えません。ましてやここが姫路の山奥だなんて、信じられない!

むしろ本物のノイシュバンシュタイン城はこの場所がツアーの待機場所になっているらしいので、この場所を独り占めできる点ではこの姫路のノイシュバンシュタイン城の方が勝っているかもしれない。写真を撮る目的ならば圧勝です。

この場所はコスプレされる方にもかなり人気があるようですが、それも納得ですね。このお城、コスプレされる方だけではなく映画のロケ地なんかにも活用されているそうですよ。すごいですねー。

 

扉なんかも雰囲気たっぷりに作られています。これはダミーではなく、金属製のドアの上から木材などを貼り付けて製作されているようです。多くはスタッフ用の入口ですが、一部は建物内部との行き来のために我々外部の人間も通ることができました。

 

お城の入口に掲示されているお城の案内図。このお城は7階建てのようです。この姫路のノイシュバンシュタイン城は全フロアー見学することができますが、本物のノイシュバンシュタイン城は4階と5階だけしか見学できないので、やはり姫路のノイシュバンシュタイン城の方が勝ってますね!!

 

と、ここまで絶賛してきましたが、

 

残念ながらお城の内部はもうちょっと頑張れたんじゃない?って感じの雰囲気。現代建築だから当然なんだけど、住宅っぽさを随所に感じます。業務用エアコンもむき出しですし。まぁ内装もお金掛かりますからね、これは仕方がない。予算内でなんとか頑張っている感は伝わってきます。

 

それでも玉座の間なんかもあって、お城感はしっかり感じることができます。この玉座の間の背景、なんでこんなに悪趣味なの?って思う人もいると思うんだけど、本物のノイシュバンシュタイン城の玉座の間も結構悪趣味なんですよ。この部屋の造り、もちろん本物とはいろいろと大きく違うんだけど、雰囲気は結構近いんじゃないかと感じました。

 

お城の内部の大部分は、無理矢理一言でまとめるのであれば『体験型の美術館』といったところ。トリックアートや撮影スポットが盛りだくさん。

 

あれ?お城要素は・・・?と言ってはいけません。こんなものは楽しんだもの勝ち。そういう意味ではキャッキャできない人や、ソロでの訪問の人は城のエリアの内部はあまり楽しめないかも。

 

そして突如として現れるくるみ割り人形ゾーン。

 

なぜ・・・?という想いを抱く人も多いかもしれませんが、展示のクオリティがなかなか高いのが一層???を加速させます。へー、くるみ割り人形ってこうやって作るんだー。

 

お城内部に掲示されている案内図がこちら。入口の真鍮製のゴージャスな地図と比べると、なんとエクセル感丸出しなことか!!

これだけでもこのお城の内部が如何にカオスな空間かがお判りになるでしょう。お城の外観のガチっぷりと内部のカオスっぷりのギャップが凄まじいです。展示の中にはホラー要素のあるもの(骸骨が歌いだすとか)もあるので、ちびっ子を連れていく場合はご注意を。というか、そういう展示は一箇所にまとめといてもらえませんかね?

 

狂気を感じるほどの作り込み『石のエリア』

太陽公園っていえばこれまでご紹介した”姫路のノイシュバンシュタイン城”こと『城のエリア』が有名ですが、わたしはもう一つのエリアである『石のエリア』の方が好きでした。もう、すんごい迫力。すんごい作り込み。すんごい規模。

『石のエリア』は『城のエリア』から徒歩3分程度。こんな近い距離ですが、無料の送迎車も運行されているので楽々移動することができます。石のエリアに入ると、まず最初に見えるのが小さな凱旋門。小さいといっても”本物と比べると”ってだけで、滅茶苦茶デカいです。4階~5階分くらいの高さがあるんじゃないかな?

そして、絶対に見て欲しいのがこちら。

兵馬俑展示館

兵馬俑っていうのは兵士と馬を模った副葬品のことで、本物は中国にあります。流石に規模は小さいものの(本物は8,000体?)、それでも1,000体もの兵馬俑が並んでいるのは圧巻。というか、1,000体ってすごいですよ。規模もそうなんですが、クオリティもすごくてやはり地方の福祉法人が作ったものとは思えません。日本にもこういう遺跡があるんだよって説明されたら、信じてしまう自信がある。そんくらい立派。

 

果たしてテーマパークのためにここまでのクオリティが必要だったのか?と感じずにはいられない。妥協せず本物と同じものを作るんだ!という狂気のようなものすら感じます。これは、一見の価値がありますよ。

ちなみに、中国にある本物は何千体とあっても一つとして同じものはないとされていますが、わたしが見た限りではここにも同じものが並んでいるようにはみえませんでした。どうやって作ったんだろう?

 

そんな圧巻な兵馬俑から続くのは、皆様ご存じ万里の長城。流石に本物とは全然サイズ感が違いますが、それでも全長2kmもあるそうです。そう、この石のエリアはめっちゃ広いのです。更に高低差もかなりあるので、各部を歩き回るとかなりの運動量に。体力に自信のない人にはちと厳しいかも。

 

この石のエリア、全然お手入れがされていません。落ち葉の季節になると落ち葉で滑ってものすごく歩きにくいと知人からは聞きました。また、お手入れされていないために一部のエリアは廃止されているくらい。わたしはむしろこのコケが生えたり落ち葉が落ちていたり自然に飲み込まれそうな雰囲気がとてもいい感じに思えました。コスプレする人とか、写真撮りたい人ならきっといろんな撮影スポットを見つけることができるはず。

 

こちらは天安門(の縮小コピー)。

そんな感じで中国の遺跡や建造物を紹介させていただきましたが、他にも世界各国の遺跡や建造物のレプリカが大量にあります。いや、ほんとうにすごい量なので、わたしとしては『城のエリア』よりもこちらの『石のエリア』の方がずっとおすすめですね(もちろん好みの問題ですけど)。

 

太陽公園のお食事・トイレ事情

食事情報:ちょっと深刻

レジャー施設といえばお食事処ですが、太陽公園で食事をとれる場所は『城のエリア』の麓にあるウェルカムハウスのみ。ホームページやパンフレットでは他にもパン屋などもあるようですが、残念ながらわたしが訪問したときは営業していませんでした。たまたま休みだった、という雰囲気には感じなかったんだけど、どうなんだろう?お城の上のカフェはアイスクリームがメインっぽかったです。

そしてウェルカムハウスの食事ですが、こちらはあまり期待してはいけません。

メニューはカレー・麺類・フライ類という、昔ながらのザ・定番メニュー。こういう施設では店内調理の拘りの食事はコスト的にも人材的にも現実的ではないのは重々理解していますので、それ自体には文句はありません。だけど、カレーを頼んだところ明らかに温めが足りなくて冷たいカレーがでてきてびっくりしました。オペレーションにちょっと問題あったんでしょうね。

そんなわけで無難なのは食事の持ち込みですが、持ち込んだ食事を食べるスペースはかなり限られているのが更に問題なんですよね。石のエリアには入口付近(凱旋門付近)と天安門の裏側に飲食できるような机は一応あるんですけど、どちらも雰囲気重視でめっちゃ使いにくいし、そもそも前者はもろ通路なのでゆっくり食事をとることができる雰囲気ではありません。レジャーシートをどこかに敷くのが一番無難かな?

残念ながら食事事情はなかなか悩ましいといえるでしょう。

 

トイレ情報:ちょっと深刻

ウェルカムハウスおよび『城のエリア』はめちゃめちゃ綺麗というわけではないけど、最低限の清潔感のあるトイレがあります。一箇所だけだけど授乳できる場所もあります。

問題は『石のエリア』。トイレは一応あるけど、屋外なのでなかなかハードな環境です。できるのなら、『石のエリア』ではトイレにいかなくて済むように訪問前に済ませておきましょう。

 

太陽公園で良かったところ

圧倒的な作り込み、スケール感

太陽公園の最大の魅力はこれでしょう。

どうしてここまでやっちゃったの?

って感じずにはいられない、オーバースペックな作り込みと規模感は恐ろしさすら感じます。どう考えてもものすごい費用が掛かってるはず。誰か、止めなかったの?やりすぎでしょ?

ある種狂気を感じるような物量。高台から『石のエリア』を見下ろすと、山の麓が丸々切り開かれていることが分かります。ここまで規模が大きいとそりゃ管理できない場所ができるのも当然だよね、って思えてきます。

 

雰囲気抜群。きっとお好きな場所が見つかるはず

姫路のノイシュバンシュタイン城、姫路の万里の長城、そして姫路の鶏足寺。和洋中の様々な建物や遺跡がハイクオリティで並んでいるので、きっと自分好みの雰囲気の場所を見つけることができるはず。

そりゃコスプレする人に人気あるのも当然だわーって思いました。写真が好きな人なら一日中撮影を楽しめるでしょうね。個人的には秋がベストシーズンなんじゃないかと思います。

 

太陽公園で残念に感じたところ

とにかく説明不足

個人的に一番気になったのはこれ。福祉法人による経営とはいえ、施設外の一般のお客様さん向けに料金を徴収している以上、立派なサービス業。なので、この施設のルールは分かりやすくきっちり提示して欲しいですね。

そう感じた最大の理由は、各施設への再入場が不可ということが分からなかったため。

いや、そういう施設もあるからそれ自体は問題ないんですが、それなら事前に分かりやすく提示して欲しかった。

太陽公園で昼食を提供しているのは無料エリアであるウェルカムハウスのみ。『城のエリア』にも『石のエリア』にも食事を提供しているお店はありません。だから食事のためには一旦『城のエリア』も『石のエリア』からも出る必要があるんですが、そうしてしまうともう再入場はできません。

せっかく見応えのある施設なのに、再入場ができないって後から知らされたのですげー損をした気分になりました。

他にもホームページに記載されている第二駐車場は野球グランドを利用する人向けになっていて、入ったらなにこいつ?みたいな目で見られたり、石のエリアのお店は一切営業していなかったりと、とにかく至る所で説明不足だなと感じました。

 

接客クオリティを期待してはいけない

これは態度が悪いとかそういうことではなくて、そもそもスタッフはほぼおられません。石のエリアなんて、入口ゲート以外でスタッフは見かけませんでした。

まじで誰もいない。時間帯によってはまるで異世界に迷い込んだよう

なので困ったことや分からないことをスタッフに聞くということは期待してはいけません。テーマパークやレジャー施設というよりかは、公園のようなイメージを持っておいた方が良いでしょう。自分でなんとかする、ゴミは持ち帰る、という姿勢をお忘れなく。

 

場所によっては福祉施設との距離感が高すぎる

これは『石のエリア』のことなんだけど、福祉施設とテーマパークエリアが同じ敷地に存在しているんです。いや、それ自体は問題ないんですよ。ただ問題なのは、場所によっては2つの施設が全く区切られていないということ。

具体的には、鶏足寺から天安門を繋ぐ通路なんかは福祉施設の建物の間を通っていくんです。その際、福祉施設の入居者の部屋の中がガッツリ見えるような場所もあり、なんだかとても悪いことをしている気持ちになりました。他にもテーマパーク内を福祉施設の車両が走行してきたり、トイレを探していてもテーマパークの建物なのか福祉施設の建物なのか分かりにくかったり、福祉施設とテーマパークの境界がはっきりしていないことによる弊害を何回も感じました。やっぱりゾーニングは必要でしょう?

 

トイレの中が丸見え

『石のエリア』のトイレ、外から丸見えでした。たまにあるよね、入口の角度が悪くて中が丸見えになっちゃっているトイレって。でもここのはそうじゃなくて、トイレの奥の壁がスリット状なんです。壁というよりかは、連続した柱。

もしかすると福祉施設故の理由があるのかもしれないけど、とにかく丸見え。わたし、恥ずかしい。

 

総評:カオスな空間だけど、見どころもたっぷり

そんなわけで、本日は姫路にある『太陽公園』のご紹介でした。この施設を人におすすめできるか?と聞かれると、正直かなり悩みます。そう、決して万人受けする場所ではないのです。

熊を虹色にする感性はわたしには、ない。

あなたはビジネスでこのような熊を作ろうと思います?作り手の感性はかなりぶっ飛んでいるようにわたしは感じました。

じゃあ、コアな人向けのB級スポットかと言われると、そんなことは全くありません。写真によっては本物にしか見えないようなクオリティのノイシュバンシュタイン城や兵馬俑など、そこまでする必要あります?って思えるようなものがたくさんあるんです。このクオリティ、方向性はやや違うもののディズニーランドやUSJの建造物の作り込みに十分匹敵すると思います。遺跡や旅行、写真が好きな人は必見といえるでしょう。ただし、人によっては仏像などのコピー品を商業目的で作るのってどうなの?って感じる方もおられるでしょうから、そのような方には合わないかもしれません。まぁ、不謹慎って感じる人がいるのも分かるっちゃ分かるし。

なお、この太陽公園について好き勝手書かせていただきましたが、元々は様々な事情で海外に旅行にいけない方々に気軽に海外旅行気分を楽しんでもらうために作られたことや、障害をお持ちの方の雇用の場所になっていることなど、素晴らしい理念のある施設ということだけはしっかりお伝えさせていただければと思います。

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