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鹿児島にある超個性的な無料の水族館?『タツノオトシゴハウス』

日本の各地には様々な水族館がありますが、中には特定の生物やジャンルに特化した水族館がありますよね。静岡の幼魚水族館とか、同じく静岡の水中楽園とか。

今回ご紹介するタツノオトシゴハウスもそのような特化型施設の一つ。厳密には水族館じゃなくて観光養殖場とのことですが、タツノオトシゴがたっぷりと、しかもなんと無料で楽しめるスポットなのです。

なかなか気軽に立ち寄れる場所ではないかもしれないけど、近くに来た際には是非立ち寄って欲しいスポットですね。

 

『タツノオトシゴハウス』があるのはこんな場所

鹿児島県は南九州市頴娃町(えいちょう)にあります。周囲は番所鼻自然公園という自然公園になっており、鹿児島県指定文化財(名勝・天然記念物)に指定されているのだとか。

自然公園の駐車場は無料。観光バスを停めることができるほどの広さのメイン駐車場の他、道は狭いですがその奥に進めばさらにもう数台分の駐車場があります。歩くのが嫌ーって人は奥の駐車場を狙いましょう。多少ですがタツノオトシゴに近くなります。

 

駐車場に車を停めると、まず目の前に広がるのがこの光景。

「番所鼻の溶結凝灰岩の環状プール群」という地形なんだそうです。”溶岩でできました感”のある黒っぽい石だらけな時点でいかにも火山で有名な鹿児島っぽい景色ですが、その黒っぽい石が環状地形を作っているのはなんとも不思議な光景。その成り立ちの説明を何度も読み込みましたが、わたしにはさっぱり理解できず・・・。何万年にも渡って自然が作り出した景色ということは分かりました。

この場所は天気が良ければ薩摩富士とも呼ばれる開聞岳と海のコラボレーションが楽しめるとても綺麗な場所なんです。そう、天気が良ければね・・・(この日は雨)。

 

環状プール群から視線を右に移すと視界に入る、海岸線上にポツンと見える建物。あれが今回訪れるタツノオトシゴハウスです。

 

番所鼻自然公園にはウォーキングコースや様々なフォトスポットなどがあるんですが、それほど広大な場所ではありません。駐車場からタツノオトシゴハウスへも徒歩数分で訪問することができます。

最近できたと思われるお洒落なカフェっぽい建物の横を通り、

 

タツノオトシゴをあしらった案内標識のる南国感たっぷりな林道を抜けると、

 

あっという間にタツノオトシゴハウスへと辿り着きました。

 

『タツノオトシゴハウス』はこんな場所

屋外スペースとなる1F

こちらがタツノオトシゴハウス。おそらく旅行を計画している段階では、「タツノオトシゴハウスってどんなところやろう・・・」って皆さん思われることでしょう。少なくともわたしはそうでした。

タツノオトシゴハウスは水族館ではなく観光養殖場とのことですが、実際に訪問してわたしが感じたのは「タツノオトシゴがたくさんいる雑貨屋さん」ってイメージでしょうか。手作り感のある雰囲気がお洒落なカフェ屋さんそっくりに感じたのかもしれません。

 

一階部分は屋外になっており、タツノオトシゴが数尾入った水槽と絵馬コーナあります。

絵馬はもちろん由緒正しき神社のもの、というものでないことは間違いないですが、ついつい書きたくなってしまう可愛さぶり。綺麗な海をバックにこの絵馬の写真を撮ったら、絶対素敵な写真になるはず!でも、この日は残念ながら天気悪し・・・

 

これがタツノオトシゴ。どこの水族館にでも絶対いるど定番の生体、というわけではないので、もしかすると今まで見たことがない人もいるかも。見れば見るほど不思議な動き方をする生き物です。

1階部分にはタツノオトシゴは数尾しか飼育されていなかったので、あれ?タツノオトシゴハウスっていう割には少なくね?って思ってしまいがち。実際に、あれ?これだけ?って言いながら1階だけ見て帰っちゃうお客さんもいました。

でもご安心ください。タツノオトシゴハウスの本体は2F部分ですよ。さぁ、2階へ上がりましょう!

 

タツノオトシゴハウスのメインは2F。タツノオトシゴだらけ!

というわけで2階に上がると、1階とは全然違う雰囲気でちょっと驚きました。2階はカフェと雑貨販売とワークショップ、そしてタツノオトシゴ水槽から構成されている空間でした。

雑貨は可愛らしいものだけではなく、本物のタツノオトシゴの干物を使った本格的(?)なものまで揃っておりました。本物のタツノオトシゴの干物は・・・ちょーっとシュールですね。でもお土産としてはインパクト抜群です。

 

雰囲気は完全にカフェ&雑貨販売のお店。しかしここはタツノオトシゴハウス。めっちゃ自然に馴染んでいますが、建物内の至るところにしっかりと水槽が配置されています。

 

水槽の中を見ると、これでもかというくらいタツノオトシゴがいます。めーっちゃうじゃうじゃいます。わたしはこれだけ大量のタツノオトシゴを見ることは人生で初めて。たぶん、ここを訪れた人はみんなそうだと思うけど。

 

さっきの水槽にいたタツノオトシゴはまだサイズが小さかったけど、巨大な水槽にいる大きな個体になるとうじゃうじゃ感によるインパクトもグッとアップします。これだけ見るとキモい!!と思う人もおられるでしょう。実際そういう声も周囲からチラホラ聞こえてきました。

 

とくに、この尻尾のような部分で絡まりまくっているタツノオトシゴ達ですよ。君たち、それ苦しくないんですか?と不安になっちゃいます。

・・・と思いきや、

どうやらこの尻尾のような部分で絡まるのは仲良し夫婦やお友達の証なんだって!!

要はハグですよ、ハグ。そう考えるとなんだか微笑ましく見えてきませんか?魚類には縄張り争いをするものが多いにもかかわらず、タツノオトシゴというのはなんと平和的なお魚なんだ!だって、魚なのにハグしてるんですよ?すごくないですか?

ん?魚?

そう、今回初めて知ったんですが、タツノオトシゴは魚らしいです。てっきりエビとかそっち系の仲間だと思っていました。

タツノオトシゴが尾のような部分で絡まる理由や、実は魚の仲間であることなどの他、タツノオトシゴに関する知識をたっぷり学ぶことができます。水族館じゃないけど、水族館より学習向けな施設かも。

 

学習向けという点でいえば、こちらのコーナーもかなり学習チック。部屋の奥には何やら怪しげな空間があり、

 

なんと中には標本がたっぷり。こちらは赤く着色された骨格標本であり、昔の理科室にあったような生々しいタイプではありません。雰囲気はちょっと怖い感じですが、ちびっ子でも見れるタイプなんじゃないでしょうか。

 

驚くべきことはリュウグウノツカイの標本まであったこと。リュウグウノツカイの標本って比較的大きな水族館であれば目にすることがあるけど、まさかこのような無料の施設で目にするとは思いませんでした。それにしても、綺麗な標本ですねー。

 

こちらはワークショップの前に置かれていた水槽。ちびっ子のタツノオトシゴがわらわらといます。

 

こちらの水槽にはもっと小さいタツノオトシゴが飼育されていました。

 

残念ながら小さすぎてなかなかカメラで撮影できず。魚の仲間だから当たり前なんですが、どれだけ小さくともしっかりとタツノオトシゴの形をしていますよ。手作り感たっぷりの可愛らしいポップがいい味を出しています。

 

タツノオトシゴハウス内は生体以外もタツノオトシゴがたっぷり。天井からぶら下っているこの巨大なタツノオトシゴは、なんとちゃんと空を飛ぶことができる凧なのだそう。

 

カフェスペースのソファーにはタツノオトシゴのクッションがあったり、

 

タツノオトシゴの芸術作品まで。天気が良ければこのオブジェの向こうに開聞岳が見えるみたい。ステンドグラスのようなタツノオトシゴと溶結凝灰岩の環状プール群、綺麗な海と青々とした開聞岳の組み合わせをまとめて楽しむことができる贅沢な場所なんです。

こ、この飾りは本物のタツノオトシゴの干物?元気に泳いでいるタツノオトシゴの目の前に干物があるというのはなんともシュール。いや、図鑑としてはこれ以上ないくらいに分かりやすいのだけど。

 

あれ?君はタツノオトシゴじゃないよね?ハリセンボンのようなフグの仲間は立派な歯があるので、絶対指を入れないように!!

だけど、ガラス越しじゃなくてハリセンボンを見たのは人生初です。愛嬌のある動きなので、好きな人ならこいつだけでも延々と見続けることができるでしょう。

 

無料なのに見ごたえ十分なスポットでした

そんなわけで、今回はタツノオトシゴの観光養殖場、タツノオトシゴハウスのご紹介でした。

訪問前は無料の施設であるということと、タツノオトシゴがいるということ以外は全然分からなかったのですが、実際訪れてみると予想以上に素敵な場所でびっくりしました。なんせ人生でタツノオトシゴをじっくり見る機会なんてまずありません。タツノオトシゴについてしっかり知る機会なんてもっとありません。決して広い場所ではないんですが、驚きの連続でしたね。この施設、ダイハツのCMに起用されたり、かの有名なさかなクンが来館してTV番組に取り上げられたこともあるそうですよ。

ただし、タツノオトシゴに特化というかなりマニアックなスポットなので、アクアリウムに全く興味のない人にはもしかすると退屈かもしれない点には注意が必要です。

もしそういう人であったとしても、周囲は番所鼻自然公園という絶景スポットですから、きっと幅広い方々が楽しむことができるはず。駐車場料金含め、これらすべてが無料で楽しめるのは有り難いですね。

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