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わたしが今メインで使っているカメラは、パナソニックのLUMIX S5(DC-S5)。
それまでは12年間マイクロフォーサーズのカメラをずっと使い続けてきたんだけど、3年前に20万円もするレンズ(パナライカ10-25mm F1.7)を使ってもノイズが目立つという悲しい思いをディズニーランドで味わってしまったことをきっかけに、フルサイズ 機への移行を決めたのでした。ノイズは現像ソフトを使えばなんとかなるかもしんないけど、大量に撮影する家族写真をいちいち処理するなんて現実的ではありません。少なくともわたしにはとてもじゃないけどそんな時間はないよ!
そんか経緯で我が家にやってきたLUMIX S5。もうすでに後継機種となるS5Ⅱが発売して随分経つのですっごい今更だけど、2年半使ってどう感じたのか長期レビューをご紹介しましょう。
LUMIX S5のざっくりとした長期レビュー
外観
とても好き。
直線基調のデザインでコンパクトな形状、しっとりとした金属の質感は高級感も感じます。SDカードスロットのカバーはプラスチック感たっぷりだけど、そんなのは見てはいけません。
適度な小ささのボディにみっちりとボタンやダイヤルが詰め込まれたデザイン。コンパクト路線の機種ながら、WB/ISO/露出補正の専用ボタンを配置しているのはすごいんじゃない?って思っています。Canonの一眼レフ機で見られた配置だと思うけど、ミラーレスになってからはパナソニック機だけじゃない?
ところで、このLUMIX S5を購入したときにはSONYのα7ⅲを買おうかすごく悩んだんです。なんといってもフルサイズ機の王者といえばSONYのα7シリーズですからね。性能やレンズの選択肢を考えれば当時であればSONY一択です。
しかしながら、わたしはどうしても当時のα7シリーズのデザインが好きになれませんでした。軍幹部の造形とか質感とかだけじゃなくて、4Kとかcybershotとかをわざわざ印字したり、あのオレンジ色のマウント周りも好みじゃありませんでした。それと比較すると、このS5はなんて格好いいんだ!!(個人の主観です)
もちろん、わたしがLUMIX S5を購入した理由は外観の好みだけってわけじゃないんですけど、でもやっぱりデザインは重要です。商売しているわけでもないんだから、気に入った機材で撮影したいですよね。
・・・といいつつ、パナソニックならではのAF性能の弱さやレンズの選択肢の少なさのせいで「あのときα7ⅲを買っていれば・・・」と後悔したことが2年半のうちに何度もあったなぁ。
操作性
パナソニックの良さは操作性の良さとインターフェースの分かりやすさだと思う。
電源の位置が機種によってコロコロ変わったり、裏面ホイールが軽くて簡単に設定が変わったり、ホイールセンターのボタンが押す度にペコペコ音がしたり、まぁ不満に感じる点もあるけど、総じて満足しています。
LUMIX S5はハイエンドモデルではないけど、ダイヤルや物理ボタンの数を削っていないのはとても立派だと思います。他のメーカーだと、廉価グレードはあからさまにボタンやダイヤルや機能を削ることってあるじゃないですか?カメラ初心者をターゲットとした廉価グレードならむしろシンプルな操作性が好まれるんだろうけど、初心者がターゲットではない廉価グレードの製品であれば、意図的に使いにくくするのはどうなんだろうと思っちゃいます。グレードの違いを出すためなのは分かるんですけどね。
画質(静止画)
LUMIX S5はデュアルネイティブISOで高感度に強い!っていうのが発売当時多くのレビューサイトで言われていたことだけど、この点はちょっと期待外れでしたかね。もちろんマイクロフォーサーズ機よりかは断然高感度に強いんだけど、「ISO12800でも全然使える!」とかは、ちょーーーっといいすぎかなぁ。
例えば、この写真はISO6400で撮影した体育館内部での写真。
これを等倍に拡大すると、
ザッラザラー。
わたし的にはこれは結構厳しいなと感じました。ザラツキってすごく難しくて、単純なISOの数値だけじゃなくて、たぶん照明の種類や環境によっても変わってくるんじゃないでしょうか。体育館とか水族館とか、強い光源で暗所を照らしているような環境だと一気にザラツキが生じやすくなるように感じます。
撮影環境によってはISO12800でもOKなこともあるんだろうけど、悪い環境でも失敗しないようにするのであれば、基本的にはISO上限値は3200に設定しておいた方が無難かなーって感じです。
画質(動画)
まーったく言うことなし。スペックに関してはS1HやGH6といった動画特化機には当然劣るけど、わたしの場合その違いがわかるほどの画質設定では撮影しないし、スペックに不満を感じるような高度な動画編集もしません。そもそもそんな違いが分かるようなモニター環境ですらありません。LUMIX S5は動画撮影時間に制限はあるけど、画質のスペック的には必要十分。そもそも、画質的には動画撮影にフルサイズ機って必要なの?っていつも感じています(なので動画撮影はGH5Sがメイン)。
それにしても、フルサイズだろうがマイクロフォーサーズだろうが、一眼カメラで撮影した4K動画ってほんとうに綺麗ですよ。センサーサイズの大きさとレンズの明るさの恩恵は動画でもはっきりと分かります。一度体感してしまったらもうスマホやビデオカメラには絶対に戻れません。
AF性能
パナソニックの最大の弱点、それはオートフォーカス性能。
コントラストAFに固執してるからだ!ってよく叩かれてたけど、このS5の後継機種のS5Ⅱにはついに像面位相差AFが搭載されました!でも、爆発的には売れてないみたいだから、パナソニックのカメラが売れないのはそれだけが問題じゃないんでしょうね。
このS5のAFはこれまで散々叩かれていたコントラストAFのみのシステムですが、まぁ確かにピントが合わなくてストレスを感じることはありますね。とくに動きものはほんとうに難しいです。
飛んでる鳥なんて捕らえるのは至難の技(この画像もピントを外してるでしょ?)。わたしの腕が悪いのは当然のことですけど、その腕に悪さをカバーできるようなAF性能を期待してはいけません。こんなシーンではピントが合うのに二呼吸くらいは必要。
なんならかけっこで手前に走ってくる子供すら追尾できないこともよくあります。パナソニック党のわたしでも、動いている被写体を撮るならパナソニックのカメラは他人には勧めないだろうなぁ。
でも他のメーカーに目を向けてみると、長年併用していた富士フイルムなんかでも、少し前まではレンズの多くが高速なAFに対応していなかったり、AF駆動音のせいで動画非推奨になっていたりしたのです。そして薄暗い室内なんかだとピントも外しまくりです。でも富士フイルムの場合はその点ではあまり叩かれていませんでした。パナソニック党としては不平等感を感じずにはいられない!この差はなんだっ!?
このピントの怪しさは動画撮影のときにも注意が必要です。なので、動きものではない動画撮影のときはピントが抜けたり暴れたりしないようにMFにするのが基本。MFなんてハードル高くない?ってわたしも最初は思っていましたが、パナソニック機ではMF時でも親指AF(親指で”AF-ON”ボタンを押すこと)で瞬時にピントを合わせることができるので、MFといえどもフォーカスリングを回してのピント合わせは不要です。実際やってみるとこれはかなり簡単だし、AFよりも失敗は少ないです。
ここがとくに気になるよ、LUMIX S5
スマホアプリとの使いにくさ
このカメラの、というよりかは、パナソニックに対する不満がこれ。
このLUMIX S5はスマホと連携するのにLUMIX Syncというアプリを使うんだけど、これがお話にならないレベルの使いにくさ。
インターフェースがどうとかいう問題以前に、そもそも繋がらないことの方が圧倒的に多いんです。Bluetooth接続はまだマシなんだけど、wifi接続の成功率は絶望的。「カメラを操作して、接続を許可してください。」って表示がでるパターンが圧倒的に多いです。もちろん指示どおり操作してもなにも改善しません。
スマホと連携したいときってリモートコントロールしたいとか、画像をスマホに送ってシェアしたいとか、割と時間がないときが多いんですよね。そんなときに繋がらないとイライラがマックス。カメラを投げ捨てたくなります。これが世界のパナソニックのサービスだなんて信じられない!
なお、マイクロフォーサーズ機ではPanasonic Image Appという別のアプリを使っており、そちらではこんなことありませんでした・・・って、そういえば同じメーカーのカメラなのになぜわざわざ違うアプリに入れ替えないといけないんだろう?理由がよく分からないのに違うアプリが必須とか、ちっともユーザーフレンドリーじゃない。
重たい
これはフルサイズ機の宿命ですね。覚悟はしてたけどやっぱり重い。重すぎます。
もちろんコンパクトなレンズをつければ重たさやサイズはマイクロフォーサーズ機やAPS-C機とそんなに変わらないんだけど、フルサイズ機の強みであるボケの強さと暗所でのノイズの少なさを得るには大口径レンズを使うしかありません。暗いレンズをつけるのであれば、明るいレンズを付けたAPS-C機を使うのと変わらないんですから。
レンズ一本だとしても、大口径ズームレンズを付けて一日中歩き回れば相当辛いです。最初はなんにも思わないけど、時間が経つごとにゴリゴリ体力を削られます。
フルサイズ機が苦手とする超望遠レンズなんてつけちゃったら、レジャーのお供のレベルではありません。レンズだけで2.1kg。レジャーで水筒を持っていく人はいても予備として2Lペットボトルを担いでいく人なんていないでしょ?そんな重量をずっと持ち運ばないといけないのです。飲み物なら飲んだ分だけ軽くなるけど、レンズはずっと重たいまんま。
こういうのを実際に体感すると、マイクロフォーサーズってものすごくコンパクトなシステムなんだなぁと再認識します。
フルサイズ機の強みが不要な撮影シーン、具体的には十分な光量がある撮影環境や、ボケを求めない用途、高画素が必要ではない用途ではフルサイズ機は重たいだけで無用の長物なのです。子どもの運動会みたいな用途だと、絶対にマイクロフォーサーズ機の方が使い勝手はよいですね。
マイクロフォーサーズ機との併用が◎
というわけで、LUMIX S5を2年半使って感じたことをつらつらと紹介させていただきました。不満点もあるけど、総じて満足はしています。突出した特徴がある機種ではないですが、必要十分な性能がコンパクトで使い勝手のよいボディにギュッと詰め込まれている印象です。庶民の感覚では十分高価だけど、それでも性能から考えるとかなり安価なのもよい点ですね。
わたしはマイクロフォーサーズ機の暗所での弱さに悩まされてフルサイズ機に手を出しましたが、その点でいえば十分目的は果たしたといえるでしょう。少なくともマイクロフォーサーズ機のときに感じていた暗所への苦手意識をこのLUMIX S5では感じたことはありません。一部の撮影環境でISOが上がると画質にザラツキを感じることはあるけど、それが分かっていれば設定次第でどうにでもなりますし。
AFは皆様のご意見と同じく確かに不満に感じることは多々あるけど、わざわざ後継機種のS5Ⅱや他社製品に買い替えるほどは困っていません。でもこれは撮影対象によるでしょうね。鳥を撮る人には絶望的かもしんない。
そんなLUMIX S5ですが、満足はしているものの、2年半使って痛感したのはフルサイズ機は決して万能なカメラじゃないなってこと。画質で困ることはなくなったけど、重さと望遠への弱さは普段使っていて非常に気になりますね。TPO的にも持ち込みをためらう場面が多々あります。
だからわたしは未だにマイクロフォーサーズ機も併用し続けています。我が家では動画に特化したGH5Sだけではなく、10年も前のモデルであるGM1も現役。GM1は小型化に特化した機種ですが、出張のように荷物が多いときはほんとうに重宝します。小さいは正義!これぞマイクロフォーサーズ機の真骨頂って感じですね。
フルサイズ機とマイクロフォーサーズ機はそれぞれの不得意分野が真逆であり、Canon・Nikon・SONYのフルサイズ+APS-Cの組み合わせよりも使い分けがより明確であるといえるでしょう。フルサイズのLマウント機とマイクロフォーサーズ機とでレンズが使い回しはできない点はデメリットですが、そのお陰でマイクロフォーサーズの方でも高性能レンズが揃っている点は強みかもしれません。他社のAPS-C専用レンズはまだまだ高性能レンズのラインナップは乏しいですからね。SONYは充実させる気兼ねを感じますが、Canonはかなり怪しい感じ?
がんばれパナソニック!
LUMIX S5を購入した当時はSONYのα7ⅲと迷ったけど、その後王者SONYのみならずCanon、Nikonからもすごい性能の機種がどんどん発売されました。パナソニック党のわたしの目からしてもパナソニックはジリ貧の気配を感じずにはいられません。パナソニックのカメラはフルサイズ機にもマイクロフォーサーズ機にもそれぞれ素晴らしい点があるんだから、なんとかこれからも頑張って欲しいものです。